リハビリの一般的な取り扱い

リハビリ

番号区分項目名取扱い根拠・ポイント
66リハビリ
術前の呼吸器リハビリ原則認める食道癌、胃癌、肝臓癌等の開腹手術前後の呼吸機能訓練として認められる。
177リハビリ乳癌術後の運動器リハビリ条件付きで認める腋窩部郭清を伴う場合は関節拘縮が類推でき算定可。郭清を伴わない単純乳房切除等で拘縮病名がない場合は算定不可。

支払基金・国保統一事例:リハビリテーション項目の算定基準と医学的妥当性の解説

1. リハビリテーション審査の基本理念:医学的必要性と維持期の取扱い

リハビリテーションの診療報酬は、機能の「回復」を目的としたものに対して手厚く設定されています。審査において最も注視されるのは、そのリハビリが**「回復の見込みがある医学的リハビリテーション」なのか、それとも単なる「機能維持のための介護的ケア」**なのかという点です。

支払基金の統一事例では、疾患ごとに設定された「標準的算定日数」を超えた場合、あるいは改善が認められないまま長期間継続されている場合に、厳しい査定(減点)が行われる傾向にあります。


2. カテゴリー別:リハビリテーションの算定ポイント詳説

① 疾患別リハビリテーション(脳・運動器・呼吸器・心大血管)

各疾患別リハビリには「標準的算定日数」が設けられています。

  • 脳血管疾患等リハビリテーション(180日間):
    • 審査ポイント: 発症日、または手術日から起算されます。高次脳機能障害や失語症など、専門的な評価(標準的高次脳機能検査など)の結果に基づいた計画が立てられているかが問われます。
  • 運動器リハビリテーション(150日間):
    • 審査ポイント: 最も請求数が多く、審査も厳しい項目です。単なる「腰痛症」や「変形性膝関節症」で漫然と継続している場合は、150日を待たずに「維持期」とみなされ査定されることがあります。骨折術後や急性増悪といった「明確なイベント」の有無が重要です。
  • 呼吸器リハビリテーション(90日間):
    • 審査ポイント: 肺気腫(COPD)や肺炎回復期が対象です。6分間歩行テストや呼吸機能検査による「改善の証明」が算定継続の鍵となります。

② 標準的算定日数を超えた場合の取扱い(月13単位制限)

  • 原則: 標準的算定日数を超えると原則として算定できません。
  • 例外(継続の妥当性): 「特掲診療料の施設基準等」に規定される対象者(例:著しい感覚障害、高次脳機能障害、難病等)については、医学的必要性が認められる場合に限り、1ヶ月に13単位を上限に算定可能です。
  • 審査の視点: 13単位制限下での継続であっても、「改善の見込み」や「急性増悪(再発)」の記載がない場合は、保険診療の対象外とされるケースが増えています。

③ 廃用症候群リハビリテーションの厳格化

  • 審査ポイント: 病気や手術に伴う安静(寝たきり)で機能低下した「廃用症候群」のリハビリは、脳血管や運動器リハビリへ振り分けられない場合に限定されます。
  • 留意点: 疾患別リハビリよりも点数が低く設定されており、かつ審査では「なぜ廃用症候群に該当するのか(基本疾患の治療のみでは説明できない機能低下があるか)」が厳しく問われます。

3. 実施体制と単位数に関する審査

  • 1日あたりの単位数制限:
    • 1日6単位(2時間)、入院患者等は9単位が上限です。これを超える算定は、特別な事情(術後早期の集中的リハビリなど)がない限り、システム的に査定されます。
  • 専任医師と療法士の関与:
    • リハビリは「医師の指示」に基づき、「療法士(PT/OT/ST)」が実施するものです。医師が計画書(リハビリテーション実施計画書)を自ら説明し、署名(または電子署名)を得ている実態が、審査における基本条件となります。

4. 併算定と包括範囲の注意点(事例115〜120関連)

  • 複数の疾患別リハビリの併用:
    • 原則: 「脳血管」と「運動器」のように、複数のリハビリを同時に算定することは原則認められません。主たる疾患のリハビリを一つ選択します。
    • 例外: 全く異なる原因(例:脳梗塞の回復期に大腿骨を骨折した等)がある場合、両方の病態を網羅した計画書があれば認められることがありますが、合計単位数は合算で制限を受けます。
  • 入院基本料・外来管理加算との関係:
    • リハビリテーション実施日には、外来管理加算は算定できません。これは、リハビリ自体に手厚い管理が含まれているという考え方に基づきます。

5. 審査を通過するための実務的対応:評価とコメント

審査委員に「医学的妥当性」を納得させるためには、以下の定量的・具体的な記載が不可欠です。

  1. 評価指数の明記:
    • ADL(日常生活動作)の評価として「FIM」や「BI(バーセルインデックス)」の数値を定期的に(少なくとも3ヶ月に1回)更新し、前回との比較を記載します。
  2. 改善目標の具体化:
    • 「歩行訓練を行う」という漠然とした記述ではなく、「杖歩行にて50m自立し、トイレ動作の自立を目指す」といった、ゴール設定が明確である必要があります。
  3. 「維持」目的の表現を避ける:
    • 「現状維持のため」という言葉は、介護保険(通所リハビリテーション等)への移行を促される要因となります。医療保険で行う場合は「機能低下を防止し、再獲得を目指す」という攻めの姿勢が必要です。
  4. 心理的・社会的背景の考慮:
    • 認知症の合併や家族構成の変化により、通常よりも回復に時間を要している場合は、その旨をコメントすることで算定日数の延長が認められる場合があります。

6. まとめと今後の展望(介護保険との連携)

「支払基金の統一事例」におけるリハビリの取扱いは、**「医療リハビリから介護リハビリへの円滑な移行」**を強力に推進しています。

医療機関は、標準的算定日数が経過する前に、患者の予後を予測し、ケアマネジャーや介護保険施設と連携して「維持期リハビリ」の受け皿を確保しておくことが、経営的にも審査対策上も重要です。本資料に示された基準は、単なる「制限」ではなく、**「医療として提供すべき質の高いリハビリテーション」**の基準を示していると捉えるべきです。

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