画像診断の一般的な取り扱い

取り扱い関係

番号区分項目名取扱い根拠・ポイント
42画像大腸造影時のガスコンドロップ注腸原則認めないガスコンドロップは経口投与の薬剤。注腸注入は添付文書外の用法であるため。
53画像アキレス腱の単純撮影原則認める家族性高コレステロール血症の診断基準(腱黄色腫の確認)として認められる。
54画像冠動脈CT時のニトログリセリン2噴霧までミオコールスプレー等。添付文書の用法に基づき、1回1噴霧、最大2噴霧まで。
148画像造影CT(イオトロクス酸)原則認める効能外だが、点滴静注により胆のう・胆管を撮影した場合は、他の造影剤同様に造影剤使用加算(CT)が算定できる。
149画像脳梗塞(CTとMRI併算定)原則認める脳梗塞の診断において、CTとMRIは得られる情報が補完的(出血否定と早期虚血検出等)であり、双方の実施は有用なため。
160画像各種癌に対するMRI撮影原則認める乳癌、悪性腫瘍、前立腺癌疑い等において、浸潤範囲の評価、転移の有無、治療効果判定にMRIは有用であるため。
161画像狭心症・心筋梗塞への冠動脈CT又はMRI原則認める冠動脈の石灰化評価(CT)や心筋viabilityの評価(MRI)など、非侵襲的検査として確立されているため。
162画像関節リウマチに対するMRI(四肢)原則認める初診・経過観察時とも、滑膜炎の描出やX線で認識できない早期の骨変化を評価するのに有用であるため。
221画像診断単純撮影(胸部)原則認められる「初診時(診断時)」の高血圧症、睡眠時無呼吸症候群合併症の把握や他疾患との鑑別に有用。
221画像診断単純撮影(胸部)原則認められない「再診時(経過観察時)」の糖尿病、高脂血症、睡眠時無呼吸症候群医学的必要性・有用性が低い。
222画像診断CT撮影(冠動脈)+MRI撮影(心臓)原則認められる(併算定)心筋梗塞CT(形態・石灰化)とMRI(機能・生存性)で目的が異なり、双方必要。
267画像診断CT撮影認められる乳癌(術前・化学療法後含む)、四肢悪性腫瘍疑い、単純撮影なしの虫垂炎・肺炎(初診時)、内視鏡なしの大腸癌・胃癌疑いレントゲンより精度が高く、内視鏡不可能な場合等に有用。
267画像診断CT撮影認められない気管支炎、単純撮影のない急性胃炎(初診時)有用性が低い。
268画像診断カテーテル交換時のCT撮影認められない経管栄養・薬剤投与用カテーテル交換法時カテーテル挿入確認は内視鏡(直接法)または造影X線(間接法)で行うのが通例。
293画像診断時間外緊急画像診断加算認められる緊急の必要性がある場合(処置・手術の算定がないレセプトでも可)必ずしも処置・手術が同日にある必要はなく、病態把握のための緊急実施は妥当。
294画像診断血管造影用ガイドワイヤー(交換用)認められない胆管造影時通知により「血管内の標的部位に誘導」「カテーテル交換時」に使用するものと規定されている。
295画像診断CT撮影認められる蘇生に成功した心肺停止原因検索や蘇生後脳症の診断のために有用。
331画像診断造影剤使用加算(MRI)認められない頭部の脳出血、脳動脈瘤告示により「脳血管に対する造影」は加算の対象外とされている。
377画像診断透視診断の算定(注腸造影・骨折)①認められる ②認められない①注腸造影は診断評価のため可。②骨折診断は手術等の補助手段のため不可。

支払基金・国保統一事例:画像診断項目の算定基準と医学的妥当性の解説

1. 画像診断審査の基本原則:診断の必要性と重複の排除

画像診断における審査の柱は、**「その検査によって治療方針がどう変わるか」**という医学的必然性です。特にCTやMRIなどの高額な検査については、身体への侵襲性(被曝等)や医療経済的な観点から、過剰な検査を抑制するための厳格なルールが設定されています。

また、同一部位に対して異なる手法(例:単純レントゲンとCT)を短期間に繰り返す場合、それぞれの検査が独立して必要であった理由が論理的に説明されなければなりません。


2. カテゴリー別:画像診断の算定ポイント詳説

① X線診断(単純撮影・造影剤使用撮影)

  • 単純撮影の複数部位算定:
    • 原則: 隣接する部位(例:胸部と腹部)を同時に撮影した場合、それぞれの点数を合算するのではなく、写真診断料や撮影料において制限(2項目目以降の減算など)がかかる場合があります。
    • 審査ポイント: 全身を細かく分けて撮影し、それぞれ独立した診断料を請求している場合、臨床診断(病名)との整合性が精査されます。
  • 造影剤使用撮影:
    • 留意点: 造影剤を使用した場合の加算や、副作用対応のための管理料は、実際に医師が立ち会い、適切な説明と同意(インフォームドコンセント)がなされていることが前提となります。副作用の既往がある患者への再投与などは、特に慎重な理由記載が求められます。

② コンピュータ断層撮影(CT)

  • 撮影回数と間隔:
    • 審査ポイント: 短期間(例:1週間以内)に同一部位の再撮影を行う場合、急性増悪や術後経過観察といった明確な理由が必要です。漫然としたルーチン検査は査定の対象となります。
  • 複数部位の同時撮影:
    • 原則: 胸部から骨盤までを一回でスキャンする場合、部位ごとに独立したCT点数を算定することはできず、「一連」として包括的な点数設定(あるいは2部位目以降の減算)が適用されます。
  • 冠動脈CT(心臓CT):
    • 判断基準: 狭心症や心筋梗塞の疑いに対し、カテーテル検査の代替または前段階として行われる場合の妥当性が問われます。カルシウムスコアのみを目的としたスクリーニング的な撮影は保険適用外とされるケースがあります。

③ 磁気共鳴コンピュータ断層撮影(MRI)

  • MRIの適応と禁忌:
    • 審査ポイント: 脳梗塞、脊椎疾患、関節損傷など、MRIが第一選択となる疾患名がついているか確認されます。
  • 複数系列の撮影:
    • T1強調、T2強調、DWI(拡散強調)などの複数の撮像法を組み合わせることは一般的ですが、これらはすべて1回のMRI算定に含まれます。特殊な加算(磁気共鳴血管撮影:MRAなど)を併算定する場合は、その診断的価値が問われます。

④ 画像診断管理加算(読影の質)

  • 算定要件:
    • 放射線科診断専門医が読影を行い、その結果を遅滞なく主治医に報告し、カルテに添付していることが条件です。
    • 審査の視点: 読影レポートが定型文(テンプレート)の使い回しであったり、極めて簡素な内容(「異常なし」の一言など)であったりする場合、加算の妥当性が否定されることがあります。

3. 「一連」の考え方と併算定の制限

画像診断における「一連」とは、ある目的のために行われる一連の検査工程を指します。

  • 遠隔画像診断:
    • 自院に専門医がいない場合に外部へ読影を依頼するものですが、依頼側と受託側の双方で適切に算定されているか、通信環境の施設基準を満たしているかがチェックされます。
  • 造影剤の併用:
    • 単純撮影と造影撮影を同時に行った場合、単純撮影の点数は造影撮影の点数に含まれるとされるのが一般的です。

4. 審査を通過するための実務的対応:診断価値の証明

審査委員に対し、画像診断の妥当性を証明するためには、以下の実務的な対応が重要です。

  1. 「疑い病名」の精密化:
    • 「頭痛」という症状だけでなく、「脳腫瘍の疑い」「クモ膜下出血の疑い」といった、その検査で何を除外・確認しようとしているのかを明確な病名として記載します。
  2. 前回の検査結果との比較:
    • 再撮影を行う際は「前回○月○日のCTと比較し、病変の拡大を疑うため」といった比較読影の必要性を注釈(コメント)に加えます。
  3. 造影剤使用の理由:
    • 単純撮影では判別困難な血管性病変や腫瘍の濃染を確認する必要がある場合、その旨を明記します。
  4. 核医学検査(PET等)の事前承認:
    • PET/CTなどは算定要件(他の検査で診断困難な場合、悪性腫瘍の病期診断等)が非常に厳しいため、要件を満たしていることを示す過去の検査履歴をレセプトに反映させます。

5. まとめとデジタル化への対応

「支払基金の統一事例」における画像診断の取扱いは、**「適切な機器で、適切なタイミングで、質の高い読影を行うこと」**を推奨しています。

近年ではAI(人工知能)による読影補助も普及していますが、保険診療上の責任主体はあくまで医師であり、審査においても医師による最終判断のプロセスが重視されます。医療機関は、高額機器の稼働率を優先するのではなく、ガイドラインに準拠した**「エビデンスに基づく検査選択」**を行うことが、適正な収益確保と査定防止の近道となります。

また、電子カルテ上の画像管理システム(PACS)とレセプトの整合性を常にチェックし、撮影したものの読影料を算定し忘れている、あるいは逆のパターンがないよう、事務部門と放射線部門の連携を強化することも重要です。

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