処置の一般的な取り扱い

処置

番号区分項目名取扱い根拠・ポイント
4処置鼻処置と副鼻腔洗浄の併算定原則認めない副鼻腔炎以外の傷病名や症状詳記がない場合、単なる鼻処置(付随するもの)とみなされる。
21処置浣腸・坐薬挿入時のキシロカインゼリー原則認めない疼痛を伴わない単なる潤滑目的の使用は、表面麻酔剤としての適応外。
52処置痔疾患に対する大腸内視鏡原則認めない痔核、痔瘻、裂肛のみの診断目的での大腸内視鏡検査は認められない。
67処置便秘病名なしの高位浣腸・摘便原則認めない便秘症の病名が必須。ない場合は治療の必要性が認められない。
68処置検査前処置の高位浣腸・洗腸原則認めない注腸造影等の前処置としての浣腸は、手技料に含まれるため別途算定不可。
69処置耳垢栓塞除去(複雑・両側)原則認めない病名に「(両)」または「(両側)」の記載がない場合は「1 片側」で算定すること。
70処置ネブライザ時の生理食塩液原則認める薬剤の希釈・溶解や、喀痰排出促進を目的とした噴霧使用として認められる。
96処置外耳炎への赤外線・紫外線療法原則認める皮膚科光線療法として、外耳炎の炎症・びらん症状の改善に有効とされる。
97処置ペッサリー(子宮脱整復)挿入月は2回まで初回調整が必要な「挿入月」は月2回OK。ただし通常の「経過観察月」は月1回。
98処置ネブライザの適応病名条件付きで認める喉頭炎、鼻炎、副鼻腔炎はOK。ただし「口内炎」に対するネブライザは認められない。
99処置間歇的陽圧吸入法(IPPB)原則認めるCOPD、肺気腫、または胸部手術後の排痰・呼吸管理目的として認められる。
100処置女性への導尿(尿道拡張あり)原則認める尿道狭窄症がある場合に限り、女性であっても尿道拡張を伴う導尿が認められる。
101処置術後4日目以降の超音波ネブ原則認めない術後の粘膜損傷修復は3日程度。4日目以降は適応病名がない限り過剰とされる。
102処置口腔・咽頭処置と喉頭処置の併用原則認める咽頭喉頭炎において、部位(咽頭と喉頭)が異なる処置のため併算定が可能。
114処置骨粗鬆症に対する介達牽引原則認めない骨粗鬆症に対する介達牽引の医学的有用性は認められないため。
115処置耳垢栓塞除去(複雑・連月)原則認める耳垢水等を用いて完全に除去した場合、同一部位(同一側)に対する連月の実施であっても算定可能。
116処置ドレーン法(持続的吸引)原則認めない吸引留置カテーテル等の特定保険医療材料の算定がない場合、手技料としての持続的吸引の算定は認められない。
117処置耳処置(J095)の算定条件付きで認める鼓膜切開・穿刺・チュービング後は可。耳鳴、難聴、めまい、耳痛等、清掃や乾燥化を主目的としない傷病名は認められない。
178処置被覆材(真皮に至る創傷用)条件付きで認める挫創、褥瘡、II度熱傷等は可。真皮欠損のないI度熱傷や単なる挫傷(打ち身)は対象外のため不可。
179処置被覆材(皮下組織に至る創傷用)条件付きで認める皮下組織に達する挫創、褥瘡、皮膚潰瘍は可。浅い擦過傷、挫傷、I度熱傷などは適応外のため不可。
180処置被覆材(筋・骨に至る創傷用)条件付きで認める深い挫滅創や褥瘡は可。刺創、擦過創、表皮剥離などの浅い傷や、単なる挫傷(非開放性)は不可。
181処置乳癌術後の体液貯留への乳腺穿刺原則認めない乳腺穿刺は乳腺組織内の病巣が対象。術後の創部体液貯留は皮下組織(組織外)の貯留であり、手技の対象外とされるため。
223処置血腫、膿腫穿刺原則認められる耳介血腫放置すると耳介変形を残すため、早期穿刺が有効。
247処置皮膚科光線療法(赤外線・紫外線)原則認められる湿疹、アトピー、乾癬、白斑、脱毛症、帯状疱疹など多様な皮膚疾患に対して治療効果を有するため。
248処置皮膚科軟膏処置+皮膚科光線療法原則認められる(併算定)「同一部位で別疾患」または「別部位で同一疾患」症状に応じて双方の処置が必要な場合がある。
281処置血管造影用ガイドワイヤー認められない-留置カテーテル設置(膀胱)、尿管ステント、経皮的胆管ドレナージ、胆管造影血管造影用(微細血管用)は血管内手術用カテーテルと併用するものであり、泌尿器・胆道処置は対象外。
348処置いぼ焼灼法及びいぼ等冷凍凝固法の算定原則認められる尖圭コンジローマ・尋常性疣贅等が対象。回数は週1回(月5回)まで。
349処置尿路感染症に対する膀胱洗浄の算定回数週1回の算定は認められる尿道カテーテル留置例における閉塞除去目的の週1回洗浄は妥当。
350処置肩関節等に対する湿布処置の算定①認められる ②認められない①肩・肘・股・膝などの半肢の大部は可。②手足・手指・足趾などの狭い範囲は不可。
418処置ハイフローセラピー時の酸素使用量原則1日86400Lまで最大流量60L/分×60分×24時間=86400Lとして算出。
419処置耳垢に対する耳垢栓塞除去(複雑なもの)原則認められない「複雑なもの」は耳垢水等が必要な場合に限る。単なる耳垢除去は基本診療料に含まれる。
467処置子宮内膜掻爬術等と同日の腟洗浄原則認められない手術当日に行う関連処置は、手技料を別に算定できない(手術料に含まれる)という通知に基づく。
468処置ペッサリー挿入時の腟洗浄(適応病名なし)原則認められない子宮脱の整復自体に殺菌洗浄は必須ではなく、腟炎等の適応疾患がない限り必要性が低い。

支払基金・国保統一事例:処置項目の算定基準と医学的妥当性の詳説

1. 処置審査における基本的な考え方

処置の審査においては、単に「行ったかどうか」だけでなく、その処置が**「疾患の程度に対して過剰ではないか」、あるいは「基本診療料(再診料等)に含まれるべき簡易なものではないか」**という点が問われます。

また、処置に使用した「特定保険医療材料(ガーゼ、カテーテル等)」の算定が、実施した処置の項目と論理的に整合しているかも重要な確認事項となります。


2. 処置項目別の算定ポイント詳説

① 創傷処置(J000)の算定ルール

創傷処置は、その面積(100cm2未満、100cm2以上500cm2未満等)によって点数が異なります。

  • 面積の合算と部位の関係
    • 原則: 近接する部位に複数の創傷がある場合は、その面積を合算して1回として算定します。
    • ポイント: 離れた部位(例:右腕と左足)にそれぞれ独立した創傷がある場合は、個別に算定できる場合がありますが、審査上は「主たる処置(点数の高い方)のみ」に制限されるケースが多く、広範囲な処置が必要な正当な理由(重症度)の記載が求められます。
  • 手術後の創傷処置
    • 制限: 手術当日の創傷処置は、手術の手技料に含まれるため算定できません。また、入院中の軽微な処置は「入院基本料」に含まれるとされる場合があります。

② 皮膚科特定疾患処置(J053)

  • 対象疾患の限定
    • 湿疹、皮膚炎、帯状疱疹、アトピー性皮膚炎などの「特定疾患」に対して、軟膏の塗布や処置を行った場合に算定します。
    • 審査ポイント: 単なる「擦り傷」や「虫刺され」に対して算定している場合は査定対象となります。また、患者自身が自宅で塗布できる程度の軽微な塗布は、外来管理加算の範囲内とみなされることがあります。
  • 面積の評価
    • 「全身の1/10以上」といった面積要件がある場合、レセプトにその範囲(例:体幹部、両下肢など)を具体的に記載しないと、妥当性が疑われます。

③ 耳鼻咽喉科的処置の併算定(事例101〜103関連)

耳鼻科処置は、複数の手技を同時に行うことが多いため、併算定の可否が頻繁に議論されます。

  • 鼻吸引、鼻洗浄、副鼻腔自然口開大処置
    • 原則: これらを同時に行った場合、それぞれの点数を合算できるわけではなく、「主たるもののみ」または「特定の組み合わせでのみ算定可能」という通知制限があります。
  • ネブライザーとの関係
    • ネブライザー(J042)は、鼻処置などと併せて行うことが一般的ですが、処置の内容によっては「一連の行為」とみなされ、個別の算定が認められない場合があります。

④ 尿道カテーテル留置と導尿

  • 留置カテーテル(J043)の交換頻度
    • 原則: 感染症管理の観点から、概ね2週間〜1ヶ月に1回程度の交換が医学的妥当性とされます。
    • 査定リスク: 数日おきに頻繁に交換している場合、閉塞や感染といった「交換を必要とした理由」の詳記がない限り、過剰診療と判断されます。

⑤ ギプス・消炎鎮痛等処置

  • 消炎鎮痛等処置(J119)の併用制限
    • マッサージ、器具等の物理療法を複数行った場合でも、1日につき「35点」の定額算定となります。
    • 審査ポイント: 「湿布処置」を同時に行った場合、湿布処置の点数は消炎鎮痛等処置に含まれるため、別途算定はできません。

3. 「一連」の考え方と期間の妥当性

処置の審査で最も頻出するキーワードは**「一連」**です。

  • 「一連」とは:ある目的のために行われる一連の動作(例:切開して膿を出し、洗浄してガーゼを当てる)は、それぞれ「切開術」「創傷処置」として分けるのではなく、最も包括的な項目一つで算定するという原則です。
  • 継続的な処置の妥当性:例えば、慢性的な潰瘍に対する処置が数ヶ月〜数年に及ぶ場合、「治癒の兆しがあるのか」「治療方針の変更を検討しているか」が問われます。長期間変化がない処置の継続は、「症状固定」とみなされ、保険診療としての処置算定が認められなくなる(自費または介護保険の範疇とされる)リスクがあります。

4. 処置における「特定保険医療材料」の審査

処置に伴って使用される材料費(ガーゼ、ドレーン、カテーテル等)も審査の対象です。

  • フィルム剤(デュオアクティブ等)の使用
    • 創傷被覆材の算定には「使用期間の制限(原則2週間〜3週間)」があります。これを超えて使用を続ける場合は、難治性潰瘍であることの証明や、医師による特別な判断の記載が必要です。
  • 使い捨て材料の妥当な数量
    • 1回の処置に対して、明らかに過剰な数量のカテーテルやシリンジを請求している場合、手技の失敗や不適切な管理を疑われ、査定の対象となります。

5. 審査を通過するための実務的対応

  1. 部位とサイズの明記
    • 処置を行った部位(左示指、背部など)と、創傷のサイズ(○cm × ○cm)をカルテおよびレセプトに記録します。これにより、点数区分(100$cm^2$未満等)の正当性を証明できます。
  2. 処置の「開始日」と「終了日(治癒)」の管理
    • 漫然と処置病名を残し続けるのではなく、治癒した場合は速やかに転帰(治癒)をつけます。また、長期化する場合は「難治性につき継続処置が必要」といった医学的判断を添えます。
  3. 手術と処置の区別
    • 「デブリードマン(壊死組織の除去)」は処置(J000)として算定する場合と、手術(Kコード)として算定する場合があります。その境界線は「汚染の程度」や「麻酔の有無」に依存するため、手技の詳細を詳記することが重要です。

6. まとめ

処置の審査事例は、医療リソースの適切な配分を目的としています。

支払基金の指針では、**「医師による専門的な手技を要するもの」と「看護師等が日常的に行えるケア」**を厳格に区別し、前者に対して適切な報酬を認める傾向にあります。

特に皮膚科や耳鼻科、整形外科などの「処置が経営の柱となる診療科」においては、本資料の統一事例を遵守しつつ、**「なぜその頻度で、その範囲の処置が必要だったのか」**を客観的に示すデータ(写真記録やサイズ計測)を院内で管理しておくことが、審査対策として最も有効です。

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